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こんにちは、黒田スポンジ倫弘です。 ちょうど去年の今頃、僕は二つの大きな出会いを経験した。ひとつは初めて韓国で国際ロックフェスティバルに出演。ことばの通じぬ、というより日本語ライブが行われるのは初めてというそのステージで、ことばに関係ない「繋がる感覚」と「感動」を釜山の観客からもらったこと。そして、もう一つは映画の仕事で出会った加藤登紀子さんとジョイントライブをやって、母親と同世代の彼女の歌に魅せられ、完全にもってかれてしまったこと。 心って不思議なもので、開けば開く程いろんなものがより色彩強く、香り高く、入ってくる。僕はどちらかと言えば、保守的で海外はヘッチャラだけど、得意ではないし、人付き合いはけして良い方じゃない。自分でもわかっているけど、ガードが固いのだ。まず、つっぱる。それでも気になることを木の影から覗くようにして見て、ちょっとずつ近付いてみるような感じ。 そんな僕が「えー!まじ!?」と言いながらも、嬉々としてバンドメンバーと釜山の街へ向かったのはなぜだったのだろう。言葉が通じないステージスタッフに、身ぶり手ぶりで意志を伝え、熱狂の観客に負けじと手をのばした。大陸の観客はおおらかに僕の音楽を受け止め、もっと来いもっと来いと僕を押し広げてくれた。それはもう心地よく。僕の中にあった国境をふわ〜っと飛び越え観客と抱き合えた奇跡。 加藤さんのステージはすばらしかった。僕に紹介されステージに向かって歩いてくる彼女のなんと艶やかなこと。ステージを譲り、袖にひっこんだ僕は殺られた。「コンバンハ。」会場は登紀子色に染まっていた。僕も。ブレスひとつ。音楽を抱くようにして伸ばされる腕の動きひとつ。そういうものが全て音楽として僕の中に流れ込んで来た。音楽と一緒に彼女のすさまじい生きざまと豊かさも。 一度開いた心は、いろんなことを無限に吸収する。たっぷたっぷになって、もう勘弁!って思っても、一瞬後には、もっともっと俺を刺激してくれ、と思う。そんな心をもつ客席に向かって放ち続けるのは、僕の生きざまだ。それがどんなに不様なものだろうと、湿気ていようと、偽ることはできない。だから胸を張って今日を歌おうと思っている。 |
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