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015/081503 |
こんばんは、黒田ヤオン倫弘です。 先週末の台風の日に、野音の下見にいってきました。その空気感と、距離感と、ステージの高さや、客席の傾斜や拡がりを確認しに。ちょうど午後からイベントライブがスケジュールされてて、こんな天気でやってんのかよ?!と疑いつつ、「何も連絡はいってないんで、予定通り開催すると思います。」というなんとも不安な情報をもち、僕の愛車カバくんで休日の空気にひっそりと夏の匂いを漂わせる日比谷公園へ。めっちゃ雨やん。めっちゃ風やん。横殴りの雨の中、ひっくりかえりそうなビニ傘をにぎりしめ訪ねると、「OPEN 14:30 START 15:30」や、やってる!まーじかよ。本当なら、ここまで心がはやってなきゃ、下見ばっくれようかと思うような気分満々な土曜の台風の昼下がり。雨にぬれるじゃりのスロープを上がって、恐る恐る場内に入る。おれたちが最初の客だった。 リハーサル中なのか、はじまってるのか、なになのかわからないまま、ミュージシャンとスタッフがオンステージしている様をぼんやり眺める。なんだろうな、これ。多分リハだったんだろう。ほとんど無人の客席に向かって司会がアナウンス、イベントがはじまる。客席には他の出演者と、数人の客。こなれていないステージなのに、音楽がはじまると、この暴風雨の野音からやなかんじが消えていく。これが野音じゃなくて、音楽がなっていなければ、どんなに腹が減ってようが、外に一歩もでたくないようなこんな日に、僕は、お世辞にも上手いとはいえない彼らの熱のこもったステージに、からだを軽くする。見ると一緒に来たスタッフは、傘をくるくるまわしながら身体を音楽に委ねている。遠くでニヒルに眺める監督の心がステージにむかっているのがわかる。 なんつーの。音楽ってすごいね。と思った。僕らは下見を兼ねたふとどきな観客だったかもしれないし、ちゃんと興味をもってステージに向かっていたわけではないけど、音楽と、音楽への一生懸命は、熱になって雨に濡れて寒いはずの身体もあっためる。ちょっと前まで、風邪ひいたら洒落になんない、とっとと帰ろうぜなんて思っていた僕ですら、立ち止まり耳を傾ける。そして見上げると空。高い木々にかこまれた野音の客席の上にぽっかりと開いた天の窓は、いくら憂鬱な、太陽を失ったこんな日でも、影をおとす木々よりも明るく、歴然と空。歴然とこの揺りかごの音楽をどこかにつなげてくれそうだ。 短い滞在であとにした野音から、僕は空気をもらい、体内メジャーとてらしあわせた通路や階段、Rのついたステージの面構えで、心のまん中にある、野音への闘志をもえあがらせたのだった。 横殴りの雨と風にふらつくかばくんに乗って、事務所近くのファミレスでお茶。監督とマネージャーと3人で、自転車もふっとびそうな風を眺めながら、雨用の養生がまったくなされていなかったスピーカーの心配なんかしてた。 「どう?」と監督にたずねられ、「なんか、大丈夫。」と答える。「来週休みなんでしょ?曲順は再来週でいいよ。」ぼくの瞳に灯ったキラリーンを理解してくれたのか、ちょっと前まで、ボチボチ野音きめこまないとヤバイよと言っていた監督が妙に優しかった。 つーか、音楽ってすごいね。なんだか本当に無性に早くライブで歌いたい。 |
>>016/082203 |
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