3/27付けFANTOM66メンバー宛送付

 Icemanを脱退します。
 理由はというと、突き詰めて言ってしまえば音楽性の違いです。でも、もう少し錯綜する複雑で単純な思いがあります。ソロを続けていくのか、Icemanは活動するのか、Icemanで歌いたいのか、それに関して考えた結果と、実際のIcemanと僕にとってのIcemanは、同じものじゃなかったという2つのことが理由です。
 ソロ活動は続けたい、だけどIcemanでもやりたい。それが僕の正直な気持ちでした。「(Icemanを)やるんだったら(僕は)やりたい」と言いつづけるのは情けなくも簡単で、僕は何度も考えてはその結論を出すことで甘えてました。実際にこの動かない状況、やらないなら僕はけじめがつけたかった。今でもIcemanは大切なもので、半身として僕の中にソロと同居していて、だから、両方であり続ける可能性を探してみるけれど、Icemanで今の僕のソロをやる可能性は?と聞かれたら、それは音楽的にあり得ない。だから、結局は音楽性の違いなのだと思います。
 そして2個目は、Icemanは大ちゃんの音楽の実験室として誕生し、形を変化させ継続しつづけるものなのだと理解していたはずなのに、いつの間にかそして最終的に僕にとってのIcemanは96年から重ねてきた音楽活動そのものになっていたこと。そういう意味で音楽活動についての考え方の違いが生まれた事が、脱退のもう一つの理由です。
 解散を提案したのは、ただ男としてけじめがつけたかったから。活動休止中の「今」脱退するのは、いままでのIcemanとしての契約に制限されずにソロ活動を続けたかったからで、自分勝手なこの決断は、自分に対するけじめでもあります。
 ソロを始めていろんな人に聞かれたことのなかに、全く違うタイプの音楽を始めて、いままで自分のやりたい音楽じゃなかったんじゃないか?というのがあって。それは違うんですよと言ってきました。なぜならあの時も今でもIcemanの僕と黒田倫弘は共存しているから。ひとりじゃ絶対できないライブスタイルだったでしょ? それはライブで表現することを全てと考える僕にとって、とても大切な機会でした。そして楽しかった。Icemanのエンターテインメントの中で僕がああいう形で表現すること、これは他で求めることができないものだから。あのステージでその時の僕が何を表現するのかやってみたいという気持ちはこの1年も色褪せずにあったし、これからも変わらずあると思う。こんなに大切なものとなってくれたIcemanに感謝しています。ありがとう。
 ソロに対しての不安は変わらずっていうより日に日に増えてるかもしれません。でも、ソロに対するどきどきわくわくするような興奮は加速度的に増していて、僕はとにかくずっと作って歌っていきます。
 僕の居るIcemanというものを待っていてくれた人には、ひとり抜けてしまうことで、その可能性を絶ってしまって申し訳ない、と言うべきなのかな。僕自身、Icemanのファンだということに変わりはなく、その終結を望んだことは一度としてなかったけれど、残念ながらという言い方も変だな。とにかく、僕がひとり終止符をうちました。恨んでいいよ。
 僕が歌う限り、出逢いなおす機会もあると信じているし、僕の歌でみんなの琴線に触れたい、という思いを常に力にして歌っているので、これからも心に届く歌を歌っていきます。よろしく   

2001年3月26日

黒田倫弘

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