ああ、昨日はいっぱいしゃべった。これのインタビューのことです。
 話したいことが‥‥というより、話すべき事柄がたくさんあって(お知らせ〜とかじゃなくてね)今、これを読んでくれている人は、少なくとも何を歌うかわからないデビュー前の新人に、「とにかく応援するからさ」と期待してくれた最初の仲間なわけで。その仲間に話しておきたいこと話したいことは「ある」よ。ここで話さずにどーする!って気持ち。それが何なのかはインタビューを読んでもらうことにして。
 戦う僕の武器について。
 それにしても「やりたいことを形にする」のは難しい。早く一足飛びにライブやりてー!って心で叫びつつ、つーか実際声に出してる時もあるらしい。それはおいといて、僕がやりたい音楽に関わるすべてのことについて。もちろん初めての己れレコーディングはそう。どんなにやりたくても初めてのことは勇気がいるし、勇気が出ても「慣れ」がないから模索の繰り返しだし。でも、それはお仕着せでやってしまったら終わりでしょうって思ってます。もちろん必要なアドバイスは欲しいから、それをくれる人を捜すし環境もつくるし。(環境は揃ってくるっていう言い方が近いかな。僕がバカみたいに必死に探してたら、だんだん手を伸ばした時にそこにそれがあるって状況ができてきた。)勝ちたいから真剣勝負。
 僕はコンプレックスだった自分の細い身体も、長い手も足も、目もくちびるももちろん声も喉も、最近ナニゲにほめられる歩く姿も全部表現するための武器だと思ってる。だからちゃんと磨いて使う。(あ、でもコンプレックスは未だにコンプレックスのままなんだ。)音楽について語ったり説明しようとした時点で、音楽だけで勝負することを放棄してるって考えるとわかりやすいのかな。聴き継がれてきたクラシックの名作だって、その時それに出逢って愛した人たちの愛情を武器にいつまでも人々に届きつづけているんだと思う。僕は音楽を作る人間である前にヴォーカリストだから、今まさに僕が歌っている、この歌を届けたいから、そこで繋がることが勝負なんだと思う。あ、バクテンもね(笑)。
 クロダ本も、だから僕にとって、歌の片手間なものじゃない。僕の歌に大切な彩りを与えてくれるものだし、何より、あの撮られる作業は、僕をすごくくすぐるから。あそこに書いた文章も、あそこでやったインタビューも、確実に全部むりやりあなたに受け取らせたい(笑)。そしてあなたが決めて。僕にもっと繋がりたいと思ってくれるのか、距離をもちたいと思うのか。‥‥という勝負。
 乱暴な言い方するよ(笑)。「僕じゃなくちゃ歌えない曲」へのこだわりが薄れた。うわっ、すげー乱暴。僕の中で面白い変化があって。変化というよりは、ソロで何を歌うか見極めていく過程ではっきりしたこと。僕が歌うことで僕の歌になるものを歌いたいという欲求と、僕が音楽を生み出したいという欲求が、今の僕のもっとも強いこだわりです。
 黒田が歌うDay Dream Believerはよかった。そう言われてすごくうれしかったんだよ。僕が歌うために生まれてきたんじゃないあの曲に、僕が黒田なりの息を吹き込めたということ。それは歌うたいとして無上の悦び。
 「音楽を生み出す」方は、よちよち歩きの赤ちゃんなので、照れながら甘えさせてもらう。それが僕の武器。でも届けた歌がよければ勝ち。
 僕が勝負打ってる相手はまずこれを読んでくれてるみんな、そしてまだ僕が届けられていない無数の音楽を求める人たち。でもその手前で自分の中の黒田といつも勝負してる。そーゆー意味では理想の高いナルシストだからかなり手強い。手強すぎて自分がバラバラに引き裂かれそうな日々を送っています。

051400
ファンクラブ会報内エッセイコーナー「MK MONOLOGUE」(060600発行)より

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